ただ

ただ
I
ただ【只・徒】
〔「ただ(直)」と同源〕
※一※ (名)
(1)代金が不要なこと。 無料。 無償。 ロハ。 《只》「機械を~で使わせる」「この酒は~だ」
(2)特別に変わった点がないこと。 普通。

「~の人」「~のかすり傷」「~でさえ混雑するのに, 休日だから身動きもできない」

(3)何事もないこと。 無事。

「~で済むとは思われない」

※二※ (形動ナリ)
(1)取り立てるほどのことのないさま。 普通。

「まだいと若うて, 后の~におはしける時とや/伊勢 6」

(2)何もしないさま。 むなしいさま。

「~にて帰り参りて侍らむは, 証候ふまじきにより/大鏡(道長)」

※三※ (副)
(1)ありきたりに。 普通。

「~有る蛇(クチナワ)なめりと人思ふ程に/今昔 13」

(2)何もせず。

「御忌日なれば, 猶~臥し給へれ/落窪2」

~でさえ
ただ(唯)でさえ(独立項目)
~では=置かないぞ(=済まないぞ)
何か仕返しをするから覚悟しておけ, という意で捨てぜりふに言う語。
~の鼠(ネズミ)で(は)ない
尋常の人物ではない。 一癖ある者だ。 油断のならないやつだ。
~より高い物はない
ただで物をもらうと, その代わりにものを頼まれたり返礼に金がかかったりして, かえって高くつく。
II
ただ【唯・只】
〔「ただ(直)」と同源〕
※一※ (副)
(1)ある物や事柄に限定され, ほかは問題にならないことを表す。 もっぱら。 ひたすら。

「~君だけが頼りだ」「今は~無事を祈るしかない」「~勉強ばかりしている」

(2)数量の少ないことを強調する語。 たった。 わずか。

「~の百円」「~一つ」「~一目会いたい」「泣き言は~の一度も言わない」

(3)(「ただ+動詞連用形+に+動詞」の形で)もっぱらその行為をするさま。 ひたすら。

「馬のうへにて~ねぶりにねぶりて/更科紀行」

※二※ (接続)
前に述べたことについて, 留保・注釈・条件などを付け加える語。 ただし。 もっとも。

「品質はいいと思う。 ~少し高すぎる」

III
ただ【多田】
姓氏の一。
IV
ただ【直】
※一※ (形動ナリ)
(1)まっすぐなさま。

「春霞井の上(ヘ)ゆ~に道はあれど/万葉 1256」

(2)間に介在するもののないさま。 直接。 じか。

「をとめに~にあはむと我が裂ける利目(トメ)/古事記(中)」

(3)遠回しでないさま。 そのまま。

「死ぬとぞ~に言ふべかりける/古今(恋四)」

※二※ (副)
(1)まっすぐ。

「磐城山~越え来ませ/万葉 3195」

(2)すぐ。 じき。

「~その几帳のうしろに/源氏(帚木)」

(3)二つの物事に変わりがないさま。 また, よく似ているさまを強調する語。 まさに。 そのまま。 さながら。

「神な月しぐれに濡るるもみぢばは~わび人のたもとなりけり/古今(哀傷)」


Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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